子どもたちに音楽を教えていると「音を出すこと」より「音を出さないこと」を教える方が何倍も難しいと気づく。
それは休符という意味でもあるし授業に受ける姿勢という両方の意味でも言える。
特にぼくが教えている相手は小学校低学年なので今日は「وقت الأبيض」という試みをやってみた。
日本語に訳すと「真っ白時間」となんともふわふわした響きである。
単純なことで「1分間何も音を出さない」という時間である。
ひとまずやってみたところクラスによって反応はまちまち。
綺麗に静かなまま1分間終わるクラスもあれば開始数秒で崩壊するところもある。
中々実施仕切るのは難しいが授業の最初の1分くらいはいつもこれをやっても良いと感じた。
音がないという状態を作り出すことの難しさとか尊さというのも子どもたちに感じて欲しい。
さてさて、今日はその「真っ白時間」という無音時間を使ったリズム・アクティビティをしてみた。
「1 2 3 4 1 2 3 4 1」と板書をする。
最初の4拍は「احكي」で口にしてカウントを取らせる。
次の4拍は「فكر」で考える、つまり頭の中でカウントを取る。
そして最後の1でパンと手を叩く。
要はタイム感を使ったアクティビティである。
実際にやってみるとまあ中々にこのアクティビティをやるのは大変だ。
無音時間に必ず声に出す子や手拍子を叩く子がいる。
中にはただ荒らしたいのかめちゃくちゃなリズムを出す子も。
先生や生徒もディレクションを手伝ってくれるのでおそらく意味がわかってない訳ではなくわざとやってるのだと思う。
中々40人くらいの生徒を完全に無音にするのは骨が折れる。
中には難なくできるクラスもあるのでその場合は無音時間を2倍や3倍と長くしてみる。
やっぱり子どもたちはどうしてもタイムが早くなってしまう傾向がある。
いや、なんならぼくも本当はできてないんじゃないかと少し心配になる。
教えることで自分の基礎を見直すことができるというのも「教える」ということの醍醐味の一つではないだろうか。