今回は楽譜についてお話しをさせていただきます。
楽譜に苦手意識を持っている人も多いと思うのですが末永く付き合っていくものなのでしっかりとルールを知っておきましょう。
前回の記事も良ければご覧ください。
五線・音部記号
音は5本の線と音符を使って表す五線譜記法がもっとも広く用いられています。
五線は、線の上と線の間という風に考えると11つの目盛りが得られます。
つまり、五線で表せる音は11つの白鍵とその間の黒鍵で18つのいうことになります。
しかし、これでは88つあるピアノの全音息をカバーをすることはできません。
そのために、五線で表す音の起点を変える必要が出てきます。
五線には左端に起点を表す記号が必ずつけられています。
これを音部記号(clef)といいます。
音部記号には、高音部記号=ト音記号(G clef)と
低音部記号=ヘ音記号(F clef)があります。
この他にも中音部記号=ハ音記号がありますがここでは省略します。
ふたつの音部記号を使った五線よりもさらに高い、または低い音は短い線を加えて表します。
これを加線といいます。
通常は加線はト音記号で上方に五本、下方に三本。
ヘ音記号では上方に三本、下方に五本を限度とします。
それ以上はオクターブ記号を用います。
中央のCをト音記号とヘ音記号で記すと以下のようになります。
調号
音楽はひとつの音階(長音階または短音階)で成立していることが多いです。
例えばAb Majorが基礎になっているとすると、音階は
Ab – Bb – C – Db – Eb – F – G
だから、曲中にAbとBbとDbとEbが頻繁に出現します。
そのたびに臨時記号をつけるのを省略するために、曲のはじめに「この四音は常にフラット」と記しておきます。
これを調号(Key)といいます。
調号は以下のようになります。
曲の途中で調が変わることを転調(Modulation)といいます。
この場合は前の調号をナチュラルでキャンセルして新しい調号を書くのが一般的です。
音価
音の長さを音価と言います。
メトロノームを鳴らしたとき、その拍が四分音符だとすると二分音符はその倍の長さで全音符はその4倍の長さになります。
一方で、四分音符を2つに分けたものが八分音符で四分音符を4つに分割したものが十六分音符となります。
1)付点、複付点
符頭の右に小さい点をつけるとその音符の長さが1.5倍になります。
もう一つ点を加えると、さらにもとの音符の1/4の長さが加わります。
以下の譜例において1小節目と2小節目、3小節目と4小節目の音符の長さは同一になります。
呼び方は1小節目の音符が付点四分音符、3小節目の音符が複付点四分音符となります。
2)連音符
音符は普通は二分割の体系になっています。
これを三分割や五分割のように特殊な分割をした場合、この一群の音符を連音符と呼びます。
三等分したものは三連符、五等分したものは五連符です。
特殊な分割であるため、分割数を書き添えます。
3)タイ
同じ高さの音を結びます。
タイで連結した音はひとつの音として扱われます。
小節線をまたいで音を連結することも出来ます。
拍子記号
音楽を構成するもう一つの重要なものが拍子です。
音楽におけるパルスは、音が一定の規則的な時間経過に伴って出現すると感じられることで確定します。
この「規則的な時間経過」を拍と言います。
さらにいくつかの拍の中に規則的に強調する因子が存在すると、そこに周期的な時間経過の間隔が生じます。
これを拍子といいます。
拍子記号は、単位となる音符を分母に、一周期に含まれる拍数を分子として分数で表します。
習慣的に4分の4拍子はCみたいな記号で表すことも多いです。
五線譜のはじめには音部記号、調号、拍子記号の三つが書かれていなくてはいけません。
これらは曲の途中で変更されることがあります。
曲の途中で拍子が変わる場合は小節線の直後に表示されます。
小節
拍子を楽譜上でわかりやすく表すために、一周期ごとに縦線で区切ります。
区切られた部分を小節といいます。
縦線は小節線と呼びます。
縦線は音楽の節目となるような場所では複縦線となります。
演奏順序
1)繰り返し記号(リピートマーク)
複縦線の右側に2点のあるところと、左側に2点のあるところを2回繰り返して演奏します。
演奏順序
1 2 3 4 5 3 4 5 6 7 6 7 8
繰り返しの末尾部分が異なるときは次のように書き、2回目は1カッコを演奏せずに2カッコに飛びます。
演奏順序
1 2 3 4 5 6 7 3 4 5 6 8
短い部分、1小節か2小節の繰り返しはbis記号を用いることもあります。
bisはラテン語で2回の意味らしいです。
2)D.C. (ダ・カーポ)
この指示のある場所から曲の初めに戻り、コーダ・マークのところからコーダまで飛び、その先に進行するか、Fine(フィーネ)またはフェルマータで終わります。
3)D.S. (ダル・セーニョ)
D.S.のマークからSのようなセーニョのマークまで戻ります。
その後の進行ではダ・カーポと同様でコーダ・マークからコーダに進行することが一般的です。
発想記号
楽譜には、音楽的表現のためのさまざまな記号があります。
ジャズだと譜面にほとんど書かれていることはありません。
しかし、クラシック音楽ですと楽譜に書かれた発想記号をどのように解釈するかがとても重要です。
たくさんあるのですがここでは主なものを挙げておきます。
1)強弱記号
ppp ピアニシッシモ ピアニッシモより弱く
pp ピアニッシモ きわめて弱く
p ピアノ 弱く
mp メッゾ・ピアノ やや弱く
mf メッゾ・フォルテ やや強く
f フォルテ 強く
ff フォルティッシモ きわめて強く
fff フォルティシッシモ フォルティッシモより強く
sfz スフォルツァンド (この音のみ)強く
fp フォルテピアノ (この音を)強くただちに弱く
cresc. < クレッシェンド 次第に強く
dim. > ディミヌエンド 次第に弱く
decresc.> デクレッシェンド 次第に弱く
2)発想記号
アクセント 強く
テヌート 長く
スタッカート 音価が半分になる
レガート(スラー) なめらかに
3)速度記号
クラシックだと曲の速度を表すのに以下の記号を使います。
書いていくとキリがなくなるので良く見かけるものだけ書いておきます。
Largo ラルゴ 幅広くゆるやかに
Adagio アダージョ ゆるやかに
Moderato モデラート 中くらいの速さで
Allegro アレグロ 快速に
Presto プレスト 急速に
見てわかるようにとてもアバウトです。
捉え方によってバラつきがあります。
ポピュラー音楽ですと具体的なメトロノーム上の数字を書く場合が多いです。
♩=108
のように曲の冒頭に書きます。
また速度の変化を表す記号もあります。
①次第に速く
accel.
string
②次第に遅く
rit. アッチェレランド
Rall. ストリンジェンド
Poco rit ポコ・リタルダンド
③速度を(均一に)上げる
Piu mosso ピウ・モッソ
Un poco animato ウン・ポコ・アニマート
④速度を(均一に)下げる
Meno mosso メーノ・モッソ
Ritenuto リテヌート
⑤もとの速度に戻す
A tempo ア・テンポ
A tempo primo ア・テンポ・プリモ
⑥速度が浮動する
Tempo rubato テンポ・ルバート
記譜上のきまり
楽譜はなによりも読みやすさを第一に書かれるべきです。
そのための約束事をいくつか挙げておきます。
1)譜尾の方向
一般に五線の真ん中、つまり第三線より下の音は上向き、上の音は下向き。
第三線上の音はその小節内にどちら向きのものが多いかで決まります。
2)譜鉤の連結
譜鉤つきの音符が連続するとき、鉤を太い線にしてつなげる。
連結は1拍を視覚的に認識しやすくします。
3)小節内のスペース
音符はできるだけ音価に応じて配置しましょう。
長い音には短い音よりも大きなスペースを割きましょう。
4)拍の視覚化
楽譜は出来るだけ簡素に書く必要がありますが、そのためにかえって読みにくくなることは好ましいことではありません。
タイなどを利用し拍をはっきりと見えるような譜面にしましょう。
5)シャープ、フラットのきまり
調号としてのシャープ、フラットは小節線を超えて有効です。
ただし、臨時記号としてはその小節内のみ有効となります。
小節内の同一音であっても、オクターブが異なる場合は改めてつけます。
小節線を挟んでタイで連結された二音は後の音に臨時記号をつけません。
ただしさらにそのあとに同じ音がある場合は、改めて臨時記号をつけます。
6)オクターブ移動の表示
下線が増えて読譜が困難になることを避けるためにオクターブ記号を用いて、オクターブの上げ下げができます。
決まり事は多いですが一度覚えてしまえば普遍的なものなので譜面を読んだり書いたりしてるうちに慣れていきますので今の時点で全部覚えなくても大丈夫です。
どんどん進んでいきましょう。
次回はコードネームについて見ていきます。
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